寝ても取れない疲れ、それは『脳のゴミ』が原因かも?45歳からの脳疲労と対策

漢方相談薬局を営む私が、今回は45歳以上の男女が抱える「寝ても疲れが取れない」という悩みに焦点を当て、その原因と対策について解説します。
40代から急増する脳の疲れと「脳のゴミ」
「昨日、何食べたっけ?」「あれ、何を買おうとしたんだっけ?」と感じることはありませんか? 40歳を過ぎると、脳の衰えを感じる人が増え、その背景には「脳のゴミ」とも呼ばれる老廃物の蓄積と、脳疲労が関係しています。
40歳は脳の曲がり角: 40代になると、約15%もの人が脳の衰えを感じ始めます。特に女性は、男性よりも脳の衰えを自覚しやすい傾向があるようです。
脳のゴミ「アミロイドβ」: 脳には、若い頃から少しずつ「アミロイドβ」というタンパク質が蓄積していきます。これが脳の神経細胞を破壊し、脳の老化や認知症のリスクを高める要因となります。
働き盛りの40代に注意: アミロイドβは、認知症発症の20~30年前から溜まり始めるとも言われています。つまり、働き盛りの40代は、特に注意が必要な時期なのです。
増える「脳疲労予備軍」: 日本人の約6割が脳疲労予備軍であるという調査結果もあります。特に女性は、男性よりも脳疲労を起こしている可能性が高いという結果も出ています。
なぜ脳にゴミがたまるのか?
脳のゴミが溜まる原因は、加齢だけではありません。現代社会特有の要因も大きく影響しています。
脳のオーバーワーク: 仕事、家事、育児、介護など、40代、50代の女性は特に忙しい毎日を送っています。常に多くの情報処理を強いられることで、脳は疲弊しやすくなります。
スマホやタブレットの普及: ちょっとした時間にスマホを開き、大量の情報を無意識に取り込んでしまうことも、脳の疲労を加速させる原因です。
デジタル社会のストレス: オンライン手続きやネットショッピングなど、デジタル社会は便利になった一方で、これまでとは違うストレスを生み出し、脳を疲れさせています。
睡眠不足: 睡眠不足は、脳疲労の大きな原因です。睡眠負債を抱えている人は、脳疲労予備軍である可能性が非常に高いです。また、睡眠不足は脳の老廃物であるアミロイドβの蓄積を促進し、認知症リスクを高める可能性があります。
ストレス: ストレスを抱えている人も、脳疲労のリスクが高いことがわかっています。ストレスは脳の神経細胞にダメージを与え、脳疲労を招きます。
脳のゴミを洗い流すためにできること
脳疲労や脳のゴミを放置すると、物忘れや集中力低下だけでなく、認知症のリスクも高まります。しかし、適切な対策を講じることで、脳を健康に保つことができます。
1. 質の良い睡眠
睡眠中の脳のメンテナンス: 睡眠中には、脳の老廃物の除去や脳細胞の修復が行われます。良質な睡眠は、脳のメンテナンスに不可欠です。
睡眠時間の確保: 睡眠時間は6時間以上を目安にしましょう。特に最初の3時間を大切にしてください。
睡眠の質を高める:
就寝1時間前からスマホやタブレットの使用を控えましょう。
寝室の環境を整え、リラックスできる空間を作りましょう。
寝る前に深酒を避けましょう。
眠くなってからベッドに入りましょう。
起床時に朝日を浴びると、睡眠リズムが整います。
昼寝は午後3時までに30分以内にするのがおすすめです。
睡眠の質を上げる寝具:
マットレス: 体圧を分散させ、正しい寝姿勢を保つマットレスを選ぶことで、身体の負荷を軽減できます。
枕: 首のカーブをサポートし、寝返りを妨げない枕を選びましょう。高さや硬さが合わない枕は、首や肩の痛みの原因になります。
掛け布団: 吸湿発熱性があり、ムレにくい素材を選ぶことで、快適な睡眠環境を保てます。
2. 生活習慣の見直し
食事:
朝食をしっかり摂りましょう。
血糖値の急激な上昇を避けるために、3食規則正しく食べましょう。
脳の健康に良いとされるブレインフードを積極的に摂りましょう。特に「PS(ホスファチジルセリン)」は脳の潤滑油として知られています。
イミダペプチドを多く含む鶏むね肉などを摂りましょう。
運動:
週3回、30分程度のウォーキングなど、有酸素運動を行いましょう。
運動は、脳細胞の成長を促す「BDNF(脳由来神経栄養因子)」の分泌を促します。
軽い運動は疲労回復因子を活性化させます。
激しい運動は活性酸素を増やし、脳に負担をかけるため避けましょう。
デジタルデトックス:
スマホやタブレットの利用時間を減らし、意識的に「ぼーっとする」時間を作りましょう。
ネット検索をする前に、まずは自分の頭で考える習慣をつけましょう。
デジタル機器に頼りすぎず、自分の記憶力や空間認知能力を意識的に使いましょう。
ストレス解消:
ストレスや悩みを「大」「中」「小」に分類し、客観的に捉えましょう。
自分なりのリラックス方法を見つけて、こまめに休息を取りましょう。
音楽を聴いたり、香りを楽しんだり、ペットと触れ合ったりするのも良いでしょう。
入浴: ぬるめのお湯で半身浴をしましょう。熱いお風呂は交感神経を刺激してしまい、逆効果になることがあります。
深呼吸: 深呼吸をすることで、脳に酸素を送り、脳の機能を活性化させます。ゆっくり息を吐き出すことを意識しましょう。
3. 脳を鍛える習慣
日記をつける: 一日の終わりに日記をつけ、自分と向き合う時間を作りましょう。
手作業: 食器を手洗いするなど、単純作業をすることで脳をリラックスさせましょう。
新しいことに挑戦: 脳に良い刺激を与えるために、新しい趣味や学習に挑戦しましょう。
人との交流: 積極的に人と会って話すことも脳への良い刺激になります。
脳をリフレッシュするヘッドスパもおすすめ
サウナも脳のゴミを洗い流すのに有効な手段です。サウナに入ると、脳疲労が取れ、脳波が正常化し、幸福ホルモンが分泌されると言われています。また、ヘッドスパも、頭皮の血行を促進し、脳の疲労回復を助ける効果があります。
最後に
40代は、脳の健康を意識し始める大切な時期です。 脳のゴミを溜めない生活習慣を心がけ、いつまでも若々しい脳を保ちましょう。漢方薬局では、あなたの体質や症状に合わせた漢方薬や養生法をご提案できます。ぜひ、お気軽にご相談ください。
漢方の緑ヶ丘薬局
薬剤師 神谷 繁
薬剤師名簿登録番号
第221780号