寝ても疲れが取れない…それは「脳疲労」が原因かも?40代からの疲労感とグリア細胞の関係

「最近、寝ても疲れが取れない…」と感じていませんか?特に40代を過ぎると、若い頃のように無理がきかなくなり、疲れがなかなか抜けなくなるという方は少なくありません。その原因は、もしかしたら「脳疲労」にあるかもしれません。
1. 脳疲労とは?
脳疲労とは、脳が過度に活動し、疲弊した状態を指します。睡眠不足やストレス、情報過多などが原因で、脳のエネルギー消費が追いつかなくなり、疲労感や集中力低下、不眠などの症状が現れます。脳疲労は、単なる疲れではなく、放置するとうつ病や不安障害のリスクを高める可能性も指摘されています。
2. なぜ脳が疲れるのか?
脳は、身体の司令塔として常に活動しています。特に現代社会では、スマートフォンやパソコンなどから常に情報が流れ込み、脳は休む暇がありません。また、仕事や家庭でのストレス、不規則な生活習慣なども脳疲労を加速させる要因となります。
情報過多: 常に大量の情報にさらされ、脳が処理しきれない状態
ストレス: 仕事や人間関係のストレスが脳の負担になる
睡眠不足: 睡眠中に脳の休息や修復が行われず、疲労が蓄積する
不規則な生活: 食事や睡眠時間が不規則だと、脳の働きが乱れる
3. 脳疲労と自律神経の乱れ
脳疲労は、自律神経のバランスを乱すことがあります。自律神経は、呼吸や心拍、消化など、生命維持に必要な機能を自動的にコントロールする神経系です。脳疲労により自律神経が乱れると、不眠、動悸、消化不良、便秘など、様々な不調が現れます。
4. 脳の炎症「神経炎症」とは?
脳疲労が慢性化すると、脳内で「神経炎症」と呼ばれる炎症反応が起こることがあります。神経炎症は、脳内の免疫細胞であるグリア細胞(特にミクログリアとアストロサイト)が活性化し、炎症性サイトカインを放出することで引き起こされます。
5. グリア細胞とは?
グリア細胞とは、脳を構成する細胞の一つで、神経細胞の活動をサポートする役割を担っています。グリア細胞には、ミクログリア、アストロサイト、オリゴデンドロサイトなどがあり、それぞれ異なる機能を持っています。
ミクログリア: 脳内の免疫細胞として、炎症反応や損傷した細胞の除去に関わる。
アストロサイト: 神経細胞のサポートや脳の環境維持に関わる。
オリゴデンドロサイト: 神経細胞の軸索を覆うミエリンを形成し、神経伝達をスムーズにする。
6. ミクログリアと神経炎症
ミクログリアは、脳内の異物や損傷を感知すると活性化し、炎症性サイトカインを放出します。これは本来、脳を保護するための反応ですが、過剰な活性化は神経炎症を引き起こし、脳機能の低下や様々な不調の原因となります。慢性疲労症候群(CFS/ME)の患者では、脳内で広範囲に炎症が起こっていることが確認されています。また、脳の炎症は、認知機能の低下や抑うつ症状、痛みの原因にもなりうることが研究で示唆されています。
7. NG2グリアと神経保護
近年、NG2グリアというグリア細胞が、神経炎症を抑制し、神経細胞を保護する役割を持つことが明らかになってきました。NG2グリアは、ミクログリアの活性化を制御し、神経炎症の悪化を防ぐと考えられています。
8. プラズマローゲンとミエリン
プラズマローゲンは、細胞膜の主要成分であり、特に脳や神経系に多く存在します。プラズマローゲンは、神経細胞の軸索を覆うミエリンの主要成分でもあり、神経伝達の効率を高める役割を担っています。プラズマローゲンが不足すると、ミエリンが正常に作られず、脳機能が低下する可能性があります。
9. プラズマローゲンの様々な機能
プラズマローゲンは、ミエリンの形成以外にも、抗酸化作用、神経炎症の抑制、神経細胞死の抑制など、様々な生理機能を持つことがわかっています。また、プラズマローゲンは、EPAやDHAなどの多価不飽和脂肪酸を貯蔵し、必要に応じて放出する働きもあります。これらの脂肪酸は、脳の健康維持に不可欠です。
10. ホタテプラズマローゲン
特に、ホタテ由来のプラズマローゲンは、EPAやDHAを多く含むため、脳疲労の改善に効果的であると考えられています。ホタテプラズマローゲンを摂取することで、プラズマローゲンとともにEPAやDHAも効率的に摂取できます。
11. 脳疲労への対処法
脳疲労を解消するためには、以下の点に注意しましょう。
質の良い睡眠: 毎日同じ時間に寝起きし、十分な睡眠時間を確保する
バランスの取れた食事: 栄養バランスを考え、抗酸化作用のある食品を積極的に摂る
適度な運動: 軽い運動やストレッチで血行を促進し、脳の活性化を促す
ストレス解消: 自分に合ったストレス解消法を見つけ、こまめに実践する
デジタルデトックス: 就寝前や休憩時間には、スマートフォンやパソコンの使用を控える
シングルタスク: 一度に複数のことをするのではなく、一つのことに集中する
プラズマローゲンの摂取: 食事やサプリメントでプラズマローゲンを補給する
まとめ
「寝ても疲れが取れない」という状態は、脳からのSOSかもしれません。脳疲労は、様々な不調の原因となるだけでなく、将来的な病気のリスクを高める可能性もあります。この記事を参考に、日々の生活習慣を見直し、脳を労わる生活を心がけてください。漢方相談薬局では、お客様一人ひとりの体質や症状に合わせた漢方薬や養生法をご提案しています。お気軽にご相談ください。
漢方の緑ヶ丘薬局
薬剤師 神谷 繁
薬剤師名簿登録番号
第221780号