脳疲労とメラトニン
寝ても疲れが取れない?45歳からの脳疲労とメラトニン不足を漢方薬剤師が徹底解説
「最近、寝ても疲れが取れない…」と感じていませんか?特に45歳を過ぎると、若い頃のようにぐっすり眠ることが難しくなり、疲れがなかなか抜けないという方が増えてきます。もしかしたらそれは、脳疲労とメラトニン不足が原因かもしれません。
この記事では、漢方薬剤師の視点から、45歳以上の方に多い「寝ても疲れが取れない」原因を詳しく解説し、質の良い睡眠を取り戻すための具体的な対策をお伝えします。
なぜ寝ても疲れが取れないのか?45歳からの睡眠の変化
45歳を過ぎると、睡眠の質が低下する原因は様々です。
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ホルモンバランスの変化: 女性は更年期に入り、男性も加齢による男性ホルモンの減少が起こります。これらのホルモンバランスの乱れは、自律神経のバランスを崩し、睡眠の質を低下させる原因となります1。
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脳疲労の蓄積: 仕事や家庭でのストレス、情報過多な生活によって、脳が疲労しやすくなります。脳が疲労すると、睡眠中も脳が十分に休めず、結果として疲れが取れにくくなってしまいます。
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メラトニン分泌量の低下: 睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌量は、10代をピークに年齢とともに減少します5。これにより、入眠が困難になったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。
脳疲労とは?その原因とサイン
脳疲労とは、脳が情報を処理しきれず、疲弊した状態を指します。現代社会は、スマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスから常に大量の情報が流れ込んできます。これにより、脳は常にフル稼働状態になり、疲労が蓄積しやすくなっています。
脳疲労の主な原因
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スマートフォンやパソコンの使い過ぎ: デジタルデバイスの画面から発せられるブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制し、睡眠の質を低下させます。また、情報過多な状態は脳を休ませることを難しくし、脳疲労を加速させます。
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ストレス: 日常的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、睡眠の質を低下させる大きな原因となります。
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マルチタスク: 複数のことを同時にこなそうとすると、脳のエネルギー消費が増大し、脳疲労を引き起こしやすくなります。
脳疲労のサイン
脳疲労が蓄積すると、以下のようなサインが現れることがあります。
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集中力の低下: 仕事や家事の際に、集中力が続かなくなる。
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ミスが増える: 簡単な作業でもミスをすることが多くなる。
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感情のコントロールが難しくなる: イライラしやすくなったり、不安を感じやすくなったりする。
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自律神経の乱れ: 頭痛、めまい、動悸、消化不良などの体の不調が現れる。
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不眠: 寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなる。
メラトニンとは?睡眠の質を高める重要ホルモン
メラトニンは、睡眠を促すホルモンで、体内時計を調整する役割を担っています。
メラトニンの生成と働き
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生成: メラトニンは、脳の松果体から分泌されます。
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分泌のタイミング: 目覚めてから14〜16時間後に分泌され始め、夜間に分泌量が増加します。
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働き: メラトニンは、体温や血圧を下げ、心身をリラックスさせ、自然な眠りを誘います6。また、強力な抗酸化力も持っており、細胞の老化を防ぐ働きもあります。
メラトニン不足が引き起こす影響
メラトニンの分泌量が不足すると、以下のような影響が現れることがあります。
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入眠障害: 寝つきが悪くなる。
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中途覚醒: 夜中に目が覚めやすくなる。
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睡眠の質の低下: 眠りが浅くなり、熟睡感を得られない。
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疲労感: 睡眠不足によって、日中の疲労感が増す。
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老化の促進: 抗酸化力が低下し、細胞の老化が進む。
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ストレスに弱くなる: 睡眠不足が続くと、ストレスに対抗するホルモン分泌量が減少し、ストレスの影響を受けやすくなる。
漢方薬剤師が教える!脳疲労とメラトニン不足を改善する5つの対策
1.
生活習慣の見直し:
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起床時間を一定にする: 毎日同じ時間に起きることで、体内時計を整えましょう。
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朝に日光を浴びる: 朝の日光は、メラトニンの分泌を抑制し、体内時計をリセットする効果があります。
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就寝前のデジタルデバイスの使用を控える: 寝る前にスマートフォンやパソコンなどの画面を見るのは避けましょう。メラトニンの分泌が抑制され、睡眠の質が低下します。
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寝室を暗くする: 寝室は真っ暗な状態にすることが理想です。豆電球程度の光でもメラトニンの分泌に影響を与える可能性があります。
2.
食事内容の改善:
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トリプトファンを摂取する: トリプトファンは、セロトニンの原料となるアミノ酸です。セロトニンは、メラトニンの材料にもなります。
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トリプトファンを多く含む食品: 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)、大豆製品(納豆、豆腐など)、青魚(カツオ、マグロなど)、バナナなど。
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ビタミンB6を摂取する: ビタミンB6は、セロトニンの生成を助ける栄養素です。
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ビタミンB6を多く含む食品: バナナ、レバー、**青魚(カツオ、マグロなど)。
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炭水化物を摂取する: セロトニンの生成には炭水化物も必要です。 炭水化物を含む食品: 白米、コーンフレーク、バナナなど
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血糖値の急上昇を避ける: 空腹時に糖質だけを摂取すると、血糖値が急上昇し、その反動で低血糖になりやすいため、タンパク質や野菜も一緒に摂るようにしましょう。
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GABAを摂取する: GABAは、脳の興奮を鎮静させ、リラックス効果をもたらす成分です。
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GABAを多く含む食品: 発芽玄米、緑茶、糠漬け、トマトジュース、ココアなど。
3.
適度な運動:
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軽い運動を習慣にする: ウォーキングなどの軽い運動は、セロトニンやドーパミンの分泌を促進し、睡眠の質を向上させます。
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就寝前の激しい運動は避ける: 寝る直前の激しい運動は、交感神経を刺激し、眠りを妨げる可能性があります。
4.
リラックスする時間を作る:
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瞑想: 瞑想は、脳の疲労を軽減し、リラックス効果を高める効果があります。
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アロマ: アロマは、心身をリラックスさせ、睡眠の質を向上させます。
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音楽: リラックスできる音楽を聴くことは、心身を穏やかにし、入眠を助けます。
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入浴: 就寝前にぬるめのお風呂に入ると、心身がリラックスし、眠りにつきやすくなります。
5.
漢方薬の活用:
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漢方薬は、体質や症状に合わせて、自律神経のバランスを整え、睡眠の質を改善する効果が期待できます。漢方薬は、心身のバランスを整えることで、脳疲労を根本から改善する手助けをしてくれます。
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専門家への相談: 漢方薬局では、専門の薬剤師が個々の状態を詳しくヒアリングし、適切な漢方薬を提案します。
まとめ:漢方薬剤師と一緒に、質の高い睡眠を取り戻しましょう!
45歳を過ぎると、ホルモンバランスの変化や脳疲労、メラトニン不足などによって、睡眠の質が低下しやすくなります。しかし、生活習慣の見直しや食事の改善、適度な運動、リラックスする時間を作ることで、睡眠の質を改善することは可能です。
この記事で紹介した対策を参考に、まずはご自身で出来ることから始めてみましょう。もし、なかなか改善しない場合は、漢方薬局にご相談ください。漢方薬剤師が、あなたの体質や症状に合わせて、適切なアドバイスや漢方薬を提案し、質の高い睡眠を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
漢方の緑ヶ丘薬局
薬剤師 神谷 繁
薬剤師名簿登録番号
第221780号