45歳からの「寝ても取れない疲れ」の原因は脳疲労?漢方で心身のバランスを取り戻す

「最近、寝ても疲れが取れない…」
45歳を過ぎた頃から、このように感じることはありませんか?それはもしかしたら、脳の疲労が原因かもしれません。脳の疲労は、身体の疲れだけでなく、心の不調にもつながることがあります。
この記事では、脳疲労の原因やメカニズム、そして漢方薬がどのようにアプローチできるのかについて詳しく解説していきます。
1. 脳疲労とは?
脳疲労とは、脳が過度に活動し、休息が不十分な状態を指します。現代社会では、常に情報過多な環境に身を置いているため、脳が休む暇なく働いている状態になりやすいです。
2. 脳疲労のサイン
寝ても疲れが取れない
集中力が続かない
イライラしやすくなった
不安を感じやすい
頭痛やめまいがする
消化不良や便秘
慢性的な肩こりや首こり
これらの症状に複数当てはまる場合は、脳疲労の可能性を考慮しましょう。
3. 脳疲労の原因
脳疲労には、以下のような様々な原因が考えられます。
情報過多な環境: スマートフォンやパソコンなど、常に情報に触れている状態は、脳を常に刺激し、疲労を蓄積させます。
ストレス: 仕事や人間関係のストレスは、脳の神経伝達物質のバランスを崩し、脳疲労を引き起こします。
睡眠不足: 睡眠は、脳を休ませ、疲労を回復させるために非常に重要です。睡眠不足は、脳疲労を悪化させる大きな要因となります。
不規則な生活: 食事の時間や睡眠時間などが不規則だと、体内時計が乱れ、脳の働きも悪くなります。
腸内環境の乱れ: 腸と脳は密接に繋がっており、腸内環境の乱れは脳の機能にも影響を与えます。
活性酸素の過剰: 体内で発生する活性酸素が過剰になると、脳細胞を傷つけ、機能低下を引き起こします。
4. 脳内過剰活性酸素とは?
活性酸素は、本来、体内で細菌やウイルスを攻撃する役割を持っていますが、過剰に発生すると細胞を酸化させ、ダメージを与えることがあります。特に脳は、エネルギー消費量が大きく、酸素を大量に消費するため、活性酸素によるダメージを受けやすい臓器です。
5. 脳疲労と海馬のコルチゾール
ストレスを感じると、脳の視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され、下垂体を介して副腎からコルチゾールが分泌されます。コルチゾールは、ストレスに対抗するために分泌されるホルモンですが、過剰に分泌されると、脳の海馬という記憶や学習に関わる領域にダメージを与える可能性があります。
6. 血中コルチゾール
血中のコルチゾール濃度は、ストレスの指標となります。慢性的なストレスにさらされていると、血中コルチゾール濃度が常に高い状態となり、脳疲労を悪化させる原因となります。
7. 腸内分泌型IgAと腸内善玉菌
腸内環境は、脳の機能に大きく影響します。腸内細菌は、様々な生理活性物質を生成し、神経系や免疫系に影響を与えます。特に、腸内善玉菌は、免疫力を高め、炎症を抑える効果があります。一方、腸内環境が悪化すると、腸内分泌型IgA(免疫グロブリンA)の分泌が低下し、免疫力が低下します。
8. 腸内環境と脳の密接な関係
腸内環境の乱れは、脳の機能に悪影響を与えることがわかっています。
神経系を介した情報伝達: 腸内の悪玉菌の細胞壁を構成するリポ多糖(LPS)が、迷走神経や脊髄求心性経路を介して脳に伝達され、炎症を引き起こす可能性があります。
免疫系を介した情報伝達: LPSに反応して免疫細胞が炎症性サイトカインを誘導し、脳に炎症を引き起こす可能性があります。
腸内細菌が生成する物質の影響: 短鎖脂肪酸、GABA、セロトニンの前駆物質である5-HTPなどが、神経系に直接的または間接的に影響を与え、脳の機能を調整します。
9. 漢方薬が脳疲労に効く理由
漢方薬は、体のバランスを整えることで、脳疲労を改善する効果が期待できます。漢方薬は、症状だけでなく、体質や生活習慣なども考慮して処方されます。脳疲労の場合、自律神経のバランスを整えたり、血流を改善したり、抗酸化作用のある生薬を用いることで、脳の機能を回復させることが期待できます。
10. 漢方薬の具体的なアプローチ
漢方では、脳疲労の根本原因にアプローチするために、以下のような方法で治療を行います。
気血水のバランスを整える: 気(エネルギー)、血(血液)、水(体液)のバランスを整えることで、全身の機能を正常化し、脳の疲労を改善します。
自律神経のバランスを整える: ストレスによって乱れた自律神経のバランスを整えることで、脳の興奮を鎮め、リラックス効果を高めます。
血流を改善する: 脳の血流を改善することで、酸素や栄養の供給を促進し、脳の機能を活性化させます。
抗酸化作用のある生薬を用いる: 活性酸素を除去する抗酸化作用のある生薬を用いることで、脳細胞の酸化を防ぎ、脳疲労を改善します。
腸内環境を整える: 腸内環境を整えることで、脳腸相関を正常化し、脳の機能を回復させます。
11. 漢方薬の種類
脳疲労に用いられる漢方薬は、個々の症状や体質によって異なりますが、以下のようなものがよく用いられます。
加味逍遙散: 自律神経の乱れを整え、イライラや不安を鎮める効果があります。
桂枝茯苓丸: 血流を改善し、肩こりや頭痛などの症状を緩和します。
抑肝散: 神経の高ぶりを鎮め、不眠やイライラを改善します。
補中益気湯: 体力を回復させ、気力を高める効果があります。
12. なぜ、漢方薬局で相談するのか?
漢方薬は、個人の体質や症状に合わせて処方されることが大切です。そのため、漢方薬局で専門の薬剤師に相談し、適切な漢方薬を選ぶことをおすすめします。
13. DHMBAとは?
DHMBA(3,4-ジヒドロキシマンデル酸)は、腸内細菌が生成する代謝物の一つです。近年の研究では、DHMBAが神経保護作用や抗炎症作用を持つ可能性が示唆されています。脳疲労の改善にも役立つ可能性があるとして注目されています。
14. 脳疲労改善のための生活習慣
漢方薬と並行して、以下の生活習慣も意識することが重要です。
質の良い睡眠: 毎日同じ時間に寝起きし、睡眠時間をしっかり確保しましょう。
バランスの取れた食事: 栄養バランスの取れた食事を心がけ、特に抗酸化作用のある食品を積極的に摂取しましょう。
適度な運動: 適度な運動は、血流を改善し、脳の活性化を促します。
ストレスを溜めない: ストレスを溜めないように、リラックスできる時間を作りましょう。
デジタルデトックス: 寝る前はスマートフォンやパソコンの使用を控え、脳を休ませる時間を作りましょう。
腸内環境を整える: 食物繊維や発酵食品を積極的に摂取し、腸内環境を整えましょう。
15. プロバイオティクスの可能性
特定のプロバイオティクスが、成体神経新生を促し、脳機能を改善する可能性が示唆されています。3種類のプロバイオティクスを投与したマウスの実験では、海馬の神経幹細胞の数が増加し、未発達な神経細胞が減少し、発達した神経細胞の割合がSPFマウスと同程度になりました。また、血中のテアニン、3-ヒドロキシ酪酸、カルノシン、アンセリンといった代謝物が増加し、これらは神経幹細胞の分化や発達を促進することがわかっています。
16. 最後に
脳疲労は、放置すると様々な不調を引き起こす可能性があります。もし、あなたが「寝ても疲れが取れない」と感じているなら、一度、漢方薬局で相談してみてはいかがでしょうか?
この記事が、あなたの健康な毎日を過ごすためのお役に立てれば幸いです。
漢方の緑ヶ丘薬局
薬剤師 神谷 繁
薬剤師名簿登録番号
第221780号